思いつきで文章の草稿や断片を書くための場所。

2006-07-20から1日間の記事一覧

草稿帳400-386

400 猫は今日も塔の上で寂しく友達の帰りを待つ。 思えばあの妙になれなれしい男も、これで一ヶ月ほど見ていないことになる。帰りが予定より三週間も遅れている。何かあったのだろうか。最初は約束を破った男に腹をたてていたが、こうまで遅いと何かあったの…

草稿帳385-371

385 「腹が立つわ……!」 そう言って少女は机を拳で叩いた。 「知った風な口を利くな、ですって!? あのくそじじい、何様のつもりよ!?」 少女は八つ当たりするものでも探しているのか机の上を見渡すが、紙とペンしかなかったため、ペンをとり、さらさらと…

草稿帳370-351

370 一体、そこはどれほど前に死んだ都市なのだろうか。 街の形骸は当の昔に風化を始め、見渡せる景色は何処もかしこも色あせている。 その崩れた都市の中心部にある宮殿も然り。 中に入ると建物のそこら中に戦傷が見られる。切り崩された柱。壊れた壁。叩き…