草稿帳544

そして、私は記憶を失くしました。 私はぽかんと地べたに座り込み、目の前に立っている男の人を見上げています。 着古したスーツによれたネクタイ、メガネをかけた気弱そうなサラリーマン風の男。額にへんなできものと言われたら納得してしまいそうな小さいツノが生えています。 「目の前の男は願いを聞く対価に魂を買う男…