100 菊沢佳恵宅には、その筋の人が見たら垂涎モノの物品の数々が眠っている。 その中の一つに玄関の靴箱の上にある、小さな、部屋の模型のようなものがある。 それは一見婦人の寝室に見える。下一面に赤い絨毯が敷き詰められていて、右端にはベッド、左端に…
75 見上げれば何時も、正方形の枠にはまった鉄格子の向こうに木が見えた。 唯一それだけが季節の巡りを少女に教えてくれる。 今は紅葉がなって、時折鉄格子の合間から枯葉がひらりと落ちてくる。 少女は七冊目になるスケッチブックに、クレヨンで地上に見え…
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